No.51(2010/8/11)

基本情報
タイトルこの歌が終わったら -When this song is over-
メーカーhourglass
作品サイト
ジャンルジュブナイル・ホラー・アドベンチャー
発売日2010年8月6日
シナリオK−TOK、蟹人
音楽Dimension Cruise
熊虎たつみ(SD原画:ちんじゃおろおす)
ヒロイン藤原藻(青葉りんご)、藤原響(神崎ちひろ)、白峯飛鳥(氷室百合)、酒出朱音(楠鈴音)

購入経緯
新作一覧にあったのが気になったことから。
ホラー部分に期待して購入。

こんな人にオススメ!
アイドル好きな人。
ぼんやりとしたホラーがやりたい人。

主人公

★鳥羽 元永(とば もとなが)★【固定】

【音声】
主人公以外フルボイス

【主人公の呼び方】
藤原藻「鳥羽くん → 元永くん」
藤原響「お兄ちゃん」
白峯飛鳥「鳥羽くん → 元永くん」
酒出朱音「鳥羽くん → 元永くん」
その他:鳥羽ちゃん(今泉)、鳥羽(佐藤、白河)、鳥羽くん(素子)、元永(英吉)etc...

ストーリー・コンセプト

カオスプロダクションの選考を次々突破する友人、
藤原藻(みずく)と藤原響(ゆら)。
その勢いは止まらず、最終選考まで残ってしまった。
そんな二人を応援する為、
バイトとしてプロダクションに潜入する主人公・鳥羽元永(もとなが)。
そして、藻と響は同じく最終選考に残っていた白峰飛鳥と3人で
ユニット『プリモ・アモーレ』を組むことに。
衝突を繰り返しつつも一つにまとまっていくプリモの面々。

そんな折、トップシークレットでデビュー&プロモーションビデオを
W県綾篠(あやしの)という場所で制作することに。
海と山に囲まれた絶景スポット目白押しのその場所で快調に進んでいると思われた撮影。
しかしそこは、得体の知れない怨念と呪いの渦巻くいわくつきの土地なのでした。

公式のアピールポイントをまとめると、夢に向かって駆け上がる少女達が古の呪いでどんどん不幸になるシナリオと、ショッキングなグロシーンではなく、テキストと音で恐怖を演出しようという試み。
ホラー、なんだろうね。

シナリオ・テキスト
淡々と書いていこうと思う。
テキストに関しては、誤字と誤用が多かったのが目立ったかな…康南を繰り返し廉南って書いてたり、脊椎じゃなくて脊髄って言いたかったのかなとか、それって獣道とは言わないよねとか、最高学府って単に大学のことなんだけどねとか…最後のは分かっててあえて使ったのかもしれないけど。
まぁでも、誤字とかは大した問題じゃないんだけど、ホラー描写もバッドエンドが続いてマンネリ化すると「ほぉ〜…」程度になっちゃうのがね…。
特に終盤は、逃げて追いつかれて死んで、逃げて追いつかれて死んで…が何度も繰り返されるので。
シナリオに関しては、ヒロインと仲良くなったり、バイトで頑張ったり、一部怪異に見舞われたりする前半と、綾篠で比較的和やかに過ごす中盤、そして得体の知れない怪異に追い詰められていくクライマックス、という構成。

ヒロインと仲良くなっていく段階に関しては、なかなかよかったと思う。
バイトもよく頑張ってるし、いろいろ考えさせられるところもあったりと、プレイしてて気分が高揚したよ。
ここでもホラー要素が入ってきてたりはするんだけど、それ以外の部分に関しては概ね満足です。

中盤も、花火をやったりみんなで楽しく食事したり、なかなかよかった。
この段階までは、結構好印象で進めていくことができました。

で、肝心のクライマックスとホラー部分。
前半のホラーは、テレビなんかでよくやってる怪談の投稿話…エレベーターで一人きりになったら、とか鏡に映った姿が…みたいな感じ。
終盤のホラーは、洋画とかにありそうな、呪われた館から脱出せよ、みたいな感じ。
そして、ほとんどの謎が解明されないままで終わってる、整合性もとれていない。
…結論を言うと、正直な感想として、あんまり怖くなかった。
「怪異」の正体が分からないまま進むので…前半はそれでも怖いけど…終盤のホラーは「???」のまま進行、怖さよりも「何この正体?」ばかりが気になります。
伏線が回収されていないことに関しては「明確な種明かしがされないほうが、身体の芯に薄ぼんやりとした『恐怖の種』が残ってより怖く感じられるのではないか」「襲われるこちらには理由がなくても、襲いかかる『怪異』の側には(中略)なにか理由があるんです、たぶん」という製作者の言葉があるので、制作側もあまり深くは考えてないみたいです。

製作者が勘違いしてると思うのは、この手の「ぼんやりした恐怖」がホラーになるのは、「読んでる側の身にも起こるかもしれない」という恐怖なわけですよ。
例えばメリーさんのホラー、メリーさんが何物か謎に包まれてるけど、電話に出るという誰しも経験のある行為がきっかけで次第に追い詰められていく、というホラー。
この作品の場合は「綾篠」という特殊な舞台がある上に、名前が原因と作品中で触れられたりと、かなり限定されてしまっています…これでは共感もしにくいですよ、他人事ですもん。
そこで必要になってくるのが謎解き、つまり種明かしですよ。
読んでる側も怪異の正体が知りたいと思ってる、それを代行するキャラを用意することで、そのキャラに感情移入しやすくなる。
「謎解きをしよう」というキャラがいないために、深く共感する前にいきなりクライマックスで「あれ?」ということになってしまうわけで。
少なくとも、事件が全部終わった後にでも、ネタばらしはしておくべきだったと思います。
それすらないので、ある程度スプラッター耐性のある人なら、ほとんど怖くないホラーになってしまっています。
新感覚と銘打ってはいますが、「ぼんやりとした恐怖」を演出するために必要な要素が欠けていて、本来なら「謎解きをしつつ怖がらせるホラー」路線でいけばいいところを、無理やり「ぼんやりとした恐怖」の方にしちゃったって感じですね…。

以下、ネタバレ反転。

飛鳥ルートでザッピング視点を見るか見ないかで最後の方でのグッドバッド分岐させるのってどうなんだろう?
しかも、ザッピング視点の醍醐味というか、一番気になるところを見たらバッド確定って…。
別に主人公が超能力者というわけでもないし、別視点を見るか見ないか、というのと主人公の行動・ゲーム内の環境って無関係だと思うんだけど。
別視点を見るか見ないか、というのと、グッドになるかバッドになるか、というのがどういう因果でなるのか全く分からなかったです。
お守りに関しては、その直後のイベントで「これがグッドの条件なのかなぁ」と分かるけど、別視点に関してはそういう仄めかしが全く無いのに見たらラストでのバッド確定なので。
これは、みんな気にならない…のかな、どうなんだろう?
個人的には、いたずらに難しくするためだけに妙なことされるのはあまり好きじゃないので、ちょっと嫌でした。
難易度が高いのは構わないんだけど、それを作品の内容に何かしら絡めてください、と。

呪いについても、何でもかんでも呪いの一言で済ませてしまうのは問題かな、と。
「理解出来ない故の怖さ」分かります。
「呪いとか人智を超えたもの」分かります。
でもだからって、せめて伏線を強調するなら回収してください。
飛鳥のエレベーター事件、なぜ封印が解ける前から死にそうな目にあってるんですか…。
しかも、しっかりとマドハンドもどきも出てきてるし、『闇』に取り込まれた父親と思しき声がしたりと、封印がとける前なのに明らかに「綾篠から出張してきた怪異」だし。
あれさえ無ければ、藻ルートや響ルートでの怪異は「犬スタの死んだアイドルの怨念」みたいな解釈も出来たんですが(朱音ルートで日常の怪異が起こらないのも説明がつく)、飛鳥ルートのエレベーター事件で一気に訳の分からないことに。
エレベーター事件が、バッドフラグだったり、解釈がめちゃくちゃになったり、と話を変にしちゃってる気がします。


あと、ちょちょっと考察反転。

名前について。
鳥羽元永:鳥羽天皇(崇徳天皇の父)と、その在位期間の元永
藤原藻:藻と書いてみずくと読むのは、玉藻前(モデルが藤原得子)で、鳥羽天皇を篭絡
藤原響:由良御前(保元の乱で崇徳上皇と対立)
白峰飛鳥:白峰山というのは、崇徳上皇の流刑地
酒出朱音:白峰山の所在地が坂出市
関係ありそうなのだけど、日本史はあんまりよくやってないから分からないなぁ。
崇徳上皇の怨霊伝説がベースになってるなら、白河さんとか名指しされてもいいような気がするけど。

カタコンベに関しては、土地の封印を守ってたんじゃないかと。
あのカタコンベは、唯一『闇』が一度も侵食してこなかった場所なわけで。
トンネルに導かれて、そのトンネルを進んだら外に出られましたとか、そのトンネルは「脱出する手伝いをしてる」としか思えないですよね。
外の七五三縄や要石が破壊されて、あわれ即身仏さんは『闇』に負けちゃいましたってことじゃないんですかね。
あぁ、でもそう考えてもいろいろおかしな点が出てくるので、もう考えるのやめましょう。


最後に…この歌が終わったら、というタイトル…死亡フラグみたいだったり、「歌」と「ホラー」がどっかで関係してるんじゃ…と思わせておいて、ホラー展開になってからはほとんど歌が絡んでこないんですよね。
元ネタは「When The Music's Over」らしいので、あんまりタイトル考えずにつけたみたいですね。
このゲームを通して最大の収穫と言ったら「俺ら東京さ行ぐだ」という迷曲を知ることができたことでしょうか。

音楽
BGMに関しては特に語ることも無いかな。
印象に残ってない、の一言です。
OPは結構いい感じでアイドルアイドルしてる。
こういう曲は好きですねー。

絵・キャラ
立ち絵…最初ちょっと違和感あった。
立ち絵とCGの印象が違うかなぁ、と。
ちょっと古風な絵だけど(特に死体とか)、割かし好み。
結構むらがあるので、絵買いする人は気をつけたほうがいいかも。

雰囲気
ホラー以外の雰囲気はなかなかよかった。
制作側はホラーの雰囲気を前面に押し出してるけど、ぶっちゃけそれ以外のシーンの方がずっと多いし、ずっとよく出来てる。
シナリオのところでも書いたけど、ホラーのところは追っかけられて捕まって…の繰り返しだから、そんなに雰囲気変わらないんだよね。
それに引き換え、日常パートはいちゃいちゃデートしたり、遊園地で遊んだり、プリモ達のレッスンに付き合ったり、みんなで楽しく食事したり…となかなか良好です。
起承転結の転あたりまでは、結構楽しんでましたよ。

エロ
概ね良好でした。
一人えっちに関しては、響1回、藻2回。
響がすごくよかった、グッド。
藻の方は…微妙だったなぁ…妄想でもテキストに主人公の台詞入れたら萎える。
体勢とかがツボだっただけに残念。

陵辱の方に関しては、まぁ普通、なのかな。
ただ、それ目的で買うのはオススメしないけど。

全体的には各キャラ和姦が3〜4回くらい。
シチュもそこそこよかったし、絵も好みだったので、結構満足のいく内容でした。

総合
まず、バグ何とかしてください…。
バックログ直したパッチ出たけど、それでも直ってないところあったし。
ロードする度にいろんな音声が重なって流れてきたり。
テストプレイとかしなかったのかなぁ…バグだけじゃなくて、誤字が多かったのもそう思わせる要因なんだけど。

とまぁ、制作側も押していて、僕も期待していたホラー部分が微妙だっただけに、不満たらたらのレビューになってしまいましたが。
うん、上でも書いているとおり、ホラー以外は概ね満足な出来でした。

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